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コウモリの遺伝的多様性とハリケーンMatt Kaplan for National Geographic News November 25, 2008
大型ハリケーンは鳥やコウモリの集団を全滅させることもあるが、嵐の中で不幸中の幸いともいうべき現象も生じていることが明らかになった。 写真を拡大
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友人に教える カリブ海ではハリケーンが無力なコウモリを実際に島から島へと吹き飛ばしている可能性がある。しかしその結果、地理的に孤立していた種同士が再び結びつき、遺伝的多様性が増していることが最新の研究で分かったという。
「ハリケーン「アイバン」がカリブ海に浮かぶ西インド諸島を直撃した際には、コウモリの集団が被害を受けていることが確認された。強風のときに死亡率が高まるのは当然だが、予想もしなかった現象が起きていることも分かった」と、研究チームのリーダーでフロリダ州にあるマイアミ大学のテッド・フレミング氏は語る。
フレミング氏と共同研究者のケビン・マリー氏は、西インド諸島に生息するコウモリを網などの道具で生け捕りにし、翼の細胞組織を小さく切り取ってDNA分析を行った。調査期間は2004年のハリケーン「アイバン」の直撃をまたぐ形となり、ハリケーン前後に生じた変化が確かめられることになった。
ハリケーンが過ぎ去った後には、どの種のコウモリの集団でも個体数の減少がみられたが、諸島内のグランドケイマン島でよく見られるオオコウモリの一種では遺伝的多様性が高まっていることが確認されたという。
この研究の結果は2009年1月号の「Biotropica」誌に掲載される。
「ハリケーン直撃前のグランドケイマン島でよく目にするコウモリといえば、特定の遺伝的特性を持ったオオコウモリの仲間1種だけだった。しかし、ハリケーン後には遺伝的特性の異なる別のコウモリ2種も見つかった」とフレミング氏は説明する。この2種のコウモリがハリケーン前に生息していたのは、140キロ離れたケイマンブラック島だけだった。
コウモリが水上をこれほどの距離にわたって自発的に飛ぶ可能性はほとんどないため、ハリケーンの強風でケイマンブラック島から飛ばされたコウモリ数匹が、グランドケイマン島に投げ落とされたのではないかと研究チームは推測している。
「風が動物を遠い場所まで運ぶなどというと、小話や“ネタ”ではないかと思われがちだが、今回の研究では本当にタイミング良くそうした現象をとらえられた」と同氏は語っている。
遺伝的多様性は、動物の集団が力強く繁殖するための重要なポイントだ。集団に遺伝的多様性が欠けていると弱い子孫が生まれるようになり、最終的には同系交配をするような事態に陥ることもある。
サウスダコタ州ブルッキングズにあるサウスダコタ州立大学の生物学者スコット・ペダーセン氏は、この研究を知って次のようにコメントしている。「これは大変価値ある研究だ。われわれは独自に行った無線追跡の調査から、コウモリが自発的に別の島まで移動することはないのではないかと想定していたので、非常に歓迎すべきデータが得られたと言える」。
一方、フレミング氏は「ハリケーンが必ずこうした効果をもたらすわけではない」とくぎも刺している。例えば、同諸島内のバハマ諸島では、「フランシス」や「ジーン」のような大型ハリケーンが襲った後でも遺伝的多様性は生じていなかった。
ハリケーンでコウモリの遺伝的多様性が高まるには、生息している島の位置やハリケーンの規模といった条件が完璧に整っている必要がある。「本当に大きな嵐でなければこの仕事は成し遂げられないようだ」とサウスダコタ州立大学のペダーセン氏も述べている。
Photograph by Christian Ziegler/Minden Pictures
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