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すべての類人猿は“笑う” ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト6月 5日(金) 17時 2分配信 / 海外 - 海外総合 写真を拡大する 今回の研究により、ヒトの笑う能力の起源が1000万年以上さかのぼることが示唆された。 (Photograph by Miriam Wessels/University of Veterinary Medicine Hannover Germany) ゴリラもくすぐられると笑うらしい。先日、ヒトと同じように類人猿にも笑う能力があると示唆する新しい研究が発表された。それが事実であれば、楽しいときなどに笑顔になることは私たち人間の専売特許ではないことになる。
若いゴリラやチンパンジー、ボノボ、オランウータンをくすぐる実験を科学者チームが行ったところ、すべての類人猿に笑う能力があることが確認されたという。
この発見から、人類と類人猿が枝分かれする直前の共通の祖先(1600万年〜1000万年前)が既に笑う能力を持っていたことが示唆された。つまり、私たちは笑う能力を独自に発達させたのではなく、祖先種から遺伝として受け継いできたということになる。
研究チームのリーダーを務めたのは、イギリスにあるポーツマス大学の霊長類学者マリナ・ダビラ・ロス氏で、同氏は心理学者でもある。研究チームは類人猿の赤ん坊や若年の個体、そしてヒトの赤ん坊を実験対象とし、首や足、手のひら、脇の下をくすぐって800件以上のさまざまな笑い声を録音した。
研究チームは前述の若いゴリラやチンパンジー、ボノボ、オランウータンとヒトの赤ちゃんの計5種の笑い声を分析し、類似点と相違点を照らし合わせて笑い声に基づくヒトと類人猿の系統樹を作成した。
驚くべきことに、その系統樹は遺伝に基づく標準的な霊長類の系統樹と非常によく似ていたのである。
「系統樹の類似性から、すべての笑い声の主が同じ祖先を共有していると結論付けるに至った」とダビラ・ロス氏は説明した。
しかし、ヒトと類人猿の笑い声は誰でも容易に聞き分けられるほどはっきり違っている。そのような明確な違いが生まれたことについて同氏は、過去500万年の間に人類が急速に進化したことが原因ではないかと考えている。
しかし類人猿が笑うとしても、「果たしてその目的は何か」という大きな謎が残る。
「類人猿の社会で、笑いはどのような役割を果たしているのか。ヒトと同じなのか違うのか、非常に興味深い。いまその解明に鋭意取り組んでいるところだ」とダビラ・ロス氏は話す。
チンパンジーが笑うという議論は以前からあったが、その笑い方はヒトとはまったく異なると考えられていた。ヒトが笑うときには息を吐き出す一方だが、チンパンジーは呼気と吸気を交互に繰り返しながら笑うというのが定説だった。
しかし今回の“くすぐり”実験によって、類人猿とヒトの笑い方は基本的には同じであることが確認された。特にゴリラとボノボにおいてその傾向が顕著だという。
例えば、ゴリラとボノボは笑う際に息を吸わず、ヒトと同じように吐き出すだけだった。アメリカ、ウィスコンシン大学の動物学者であり、心理学者でもあるチャールズ・スノードン氏はこの事実に対し、次のように結論付けている。「これまでの見方に反して、息を吐きながら笑うことはヒトに固有の特徴ではないようだ。原種の類人猿も同じように笑っていたと考えられる」。
さらに、ゴリラとボノボが笑う際に息を吐き続ける時間は、通常の呼吸時と比べて3倍から4倍長かったという。話す能力の進化に欠かせないこのような呼吸法も、以前はヒトにしかできないと考えられていた。
霊長類学研究の第一人者として知られるフランス・ドゥ・ヴァール氏も今回の研究成果に賛同している1人だ。チンパンジーがときおり見せる口を丸く開けた表情は、仲間と遊ぶときに見られることから“プレイ・フェイス”と呼ばれてきたが、「今後は“笑い”と呼ぶようにする」と同氏は宣言している。
さらに同氏は次のように解説した。「人類と類人猿の間で、笑う際の表情、呼吸法、声に共通点が見受けられることから、私たちの笑う能力は有史以前の類人猿に起源があると考えて間違いない。類人猿の笑いは遊びの中で生まれており、それもヒトと酷似している。彼らはくすぐり合ったり、じゃれ合ったりといった行為の中で笑っている。いま“笑う”という言葉を意図的に使っているが、それは類人猿の行動が進化論的に見てもヒトの笑いと関連していることが今回の研究ではっきりと証明されたからだ」。
Brian Handwerk for National Geographic News
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